辰の島(たつのしま)
遠景 |
辰の島は、壱岐の最北端、勝本港の北西2kmにあります。
面積は、約160uの小さな無人島で、砂岩層の海底が隆起してできました。
壱岐を代表する景勝地で、壱岐対馬国定公園の特別保護地区に指定され全島天然記念物になっています。
平成18年に、日本の快水浴場百選にも選定されています。
乗り場 |
勝本港から船で約10分間で辰の島に行くことができます。
島の南側は紺碧の海と白砂のおだやかな砂浜、北側は垂直100mの荒々しい蛇ケ谷やマンモス岩と呼ばれている断崖絶壁です。
海底まで続く90〜100mの深さの断崖になっています。
対馬海流が流れている島付近は絶好の釣り場でもあります。
若宮島(わかみやじま) |
途中、若宮島の前を通ります。
現在は、一般の人は立入り禁止区域になっています。
頂上に、アンテナや建物が見えますが、これは、海上自衛隊の基地です。
江戸時代には、ここに、見張番所(みはりばんしょ)があり、沖を行く外国船を見張っていました。
写真の下の方に、赤い建物が見えますが、これは、若宮神社です。
現在、この島には、自衛隊員と鹿のほかは、だれも住んでいません。
到着 |
到着したその場所は、全くの別天地です。
海面は、コバルトブルー。
海中には、いろ鮮やかな魚も泳いでいます。
いろいろな海藻類もたくさん生育しています。
イルカ供養塔 |
イルカ供養塔です。
壱岐にとっては、戦後最大の事件かもしれません。
詳しくは、壱岐のイルカ事件を参照してください。
海水浴 |
写真は、辰の島の頂上から見たものです。
U字の形をした白砂青松の海岸という言葉がぴったり当てはまります。
遠浅の白砂の浜は海水浴にはぴったりです。
干潮時には200mの遠浅の砂浜になります。
8月の第1日曜日には、辰の島フェスティバルが開催されます。
市民や夏休みの帰省客、観光客など約1000人位の人たちが訪れます。
宝探し、スイカ割り、サザエのつかみどりなどで、夏の1日を楽しみます。
羽奈毛崎(はなげざき) |
屏風のようにそそり立つ60m〜100mの断崖の真下まで行くと迫力があります。
上から下を見下ろすと足がすくみます。
実は、ここには、断崖の裂け目の岩肌に浮き出て見える羽奈毛観音がいます。
観音様は、青い色をした岩でできていて、人が作ったものか、波と風で自然に出来たものか分かりません。
ただ、この観音様は、正直な人にしか姿が見えないそうです。
ちなみに、私は、この観音様をまだ見たことがありません。
勝本の漁民の守り本尊で、この観音様がいる近くの海は、波の高いところですが、不思議なことに、ここでは遭難事故が少なく、観音様の御利益と信じられています。
この付近は、海流の流れが速く、潮と風が逆さまになる時には、三角波が立ち、海の難所でもあります。
次のようなお話があります。
明治の頃、佐世保を出航した石炭船が、夜の勝本沖を航行していました。
ところが、急に天候が悪化し、濃い霧と大雨に悩まされ、難儀な航海となりました。
そのとき、闇の中に一筋のかすかに輝く光を見つけ、それを頼りに船を進め、やっとの思いで勝本の港に入ることができました。
勝本に入港してから調べると、この灯は灯台でもなく、羽奈毛の観音様の光明であることが分かったということです。
捕鯨業の盛んな頃には上り鯨をここで網にかけて捕っていました。
マンモス岩 |
壱岐の人は、マンモス岩と呼んでいます。
それにしても、自然が作り出した造詣には圧倒されます。
ウニ、サザエ、アワビの宝庫ですが、波が荒く命を落とした漁民も多くいます。
オオカミ岩 |
右の写真の中に、オオカミの形をした岩があります。
よ〜く目を凝らして見ると発見できます。
えっ? 良く分からないですって。
それなら、壱岐に来て、本物をご覧になってください。
洞窟 |
きれいなコバルトブルーの海と松の緑。
良くマッチしています。
島の周辺にはこのような洞窟がたくさんあります。
潮の流れが速いからでしょうか、海底まで澄んでいてとてもきれいです。
海底にいる、ウニや魚を肉眼で間近に見ることもできます。
蛇が谷 |
壱岐の土台石の勝本層でできています。
長い間の風化でこのような垂直的の柱状節理の断崖絶壁になりました。
ところどころに縦の裂け目があり、それが年輪を感じさせます。
高さは約60mあります。まさに自然が作り出した造形美です。
この周辺にはテーブルやテラスなど、いろいろな形をした岩があって、それらの岩からオーラが出てとても癒されます。
太陽が沈む直前に岩が夕日を受けるときが一番マイナスイオンが充満すると言われています。
海に出たまま帰らない夫を待ち続け、悲しみの余り崖から身ば投げた若妻が白蛇になって、夫を待っているというお話もあります。
植物 |
辰の島には、多くの貴重な海浜植物が混生しています。
分布している植物は、クロマツ、ハイビャクシン)、ハマビワ、ハマクサギ、マルバシャリンバイ、マサキ、ハマヒサカキ、ハマゴウ、ハマボウなどやイワダイゲキ(南方系)、イソヤマテンツキ、エゾオウバコ(北方系)、ハマオモト(壱岐北限)、ハマムギ(壱岐南限)など北方系、南方系の植物が、約43種類ありますが、ハイビャクシンがもっとも貴重です。
しかし、最近は、ハマゴウに侵食され、絶滅の危険にさらされています。
ハイビャクシンについては、壱岐の自然と風景壱岐の土台石を参照してください。
海浜植物群落は、まとめて国の天然記念物に指定されています。
しかし、最近は、鹿など、貴重な植物を食い荒らす有害鳥獣が増えて、貴重な植物が全滅する可能性もあります。
積極的な駆除等が必要です。
写真は、ハマラッキョウ、ハマナタマメ、コオニユリです。
写真は、ナデシコ、ハマユウ、キキョウの花です。
この島には、右の写真のように、立ち枯れた木もたくさんあります。
自然の厳しさをうかがわせる光景です。
生物 |
これは、おそらくカニが食事をした後、吐き出したものでしょう。
鬼の足跡 |
右の写真は、辰の島にある、通称、鬼の足跡と呼ばれている、蛇が谷の洞の奥が陥没してできた大きな空洞です。
鬼の足跡と呼ばれている空洞は、壱岐にはもう1ヶ所あって、渡良半島の先端にもあります。
ここから、下をみると足がすくみます。
それにしても、渡良の鬼の足跡と良く似ていますね〜。
デイという鬼が、片足を渡良に、片足を辰の島にまたいで立ち、フンドシで鯨3頭をすくったといいます。
そのときにふんばってできた足跡だといわれています。
最近は、この穴は、自然にできたものではなく、古代人が、この場所で夕日を見るために作ったものだという人もいます。
もともと大きな岩があって、そこを削って降りていったので断崖になっている、というわけです。
4000万年前の縄文時代の太陽崇拝の跡ではないか、という人もいます。
渡良と同じように穴は西の方に開いています。
穴の入り口も柱状になっています。
防空壕 |
辰の島には、左の写真のように、戦時中に、軍隊がつくったと思われる防空壕や、歩道があります。
今、私が歩いているこの道も軍隊がつくったものです。
剣(けん)の池 |
壱岐の七不思議の伝説を持つこの池は、高い崖になっていて、その内側に剣の池と言われているひし形の池があります。
この池は海とつながっているといいます。
確かめた人はいません。
まさに、ミステリーゾーンです。
この池に1人で近づくと欲しいものや宝物が池の真ん中に浮かんできます。
しかし、それをとりに池に入ると再び戻ることはないといいます。
また、この近くでは、外国人の幽霊が出るといわれ、この幽霊を見た人は死んでしまうともいわれています。
この外国人は、昔、辰の島の近くで遭難した人だということです。
物言う牛 |
昔、夫婦と若い男が辰の島でたきぎを拾っていると、突然大きな牛が現れました。
その牛は、3人の周りをゆっくりと回り始めました。
3人は怖くなってじっとしていると、牛が、「私はこの島に住んでいるものである。
あまり木を切られると山が浅くなり私の住む場所がなくなるので、これからはあまり来ないようにしてほしい。」としゃべり出しました。
その後3人はどうやって家に帰ったか覚えていないそうです。
もしかすると、あなたもこの牛に出会えるかもしれません。
水晶谷 |
この島には水晶があり、この水晶は、辰の島の主(ぬし)の宝なので持ち帰るとばちがあたるとされています。
また、一度行っても2度目は場所が分からなくなるともいいます。
地元の人も近寄らない幻の谷です。
野生の動物 |
辰の島の周辺には鹿やタヌキなどの野生の動物もたくさんいます。
野生の鹿は、辰の島、若宮島、名烏(ながらす)島、串山半島などに、80頭ぐらいいるといわれています。
鹿は半夜行性で昼間は、森林の茂みの中にかくれていて夕方からエサをあさりに出て来ます。
エサは、木の葉、草の葉、木の芽です。
秋になって、いろいろな木の実などを食べて脂肪がのって肥えてきます。
シカは植林した若木の皮や、芽を食べたり、畑の農作物を食べるので困ります。
走るのはとても速く、また、鹿の耳と鼻はとても鋭敏で、わずかな物音でも聞きつけ、風上からの臭いは遠くからでもかぎつけることができるので、人間1人では捕まえることができません。
泳ぐことがとても上手で、島から島に泳いで渡ることができるので、ひとつの島でえさがなくなると、隣の島に泳いで渡って、その島の植物を食い荒らしてしまいます。