壱岐の玉泉寺
玉泉寺 |
曹洞宗のお寺です。
本尊は、薬師坐像(唐作)。
脇士 日光、月光各立像。
12神将各立像。
このお寺には、いろいろなお話しが伝わっています。
まず、玉泉寺の3大不思議というお話から始めましょう。
十二神将(しんしょう)の消火 |
その昔、このお寺の周辺の山で火事があり、お寺も燃えそうになりました。
近所の人々は懸命に消火に努めましたが火の勢いは激しくなるばかりで、手の施しようがありませんでした。
もうだめだと、みんながあきらめかけたときでした。
どこか来たのか、12人の変わった姿の人が、手に手に生木の枝(柴)を持ち火を消し始めました。
村人たちはそれを見て励まされ、また力を合わせて再び火を消し続けました。
そのかいがあって、2時間余りの後、火は消し止めることができました。
火が消えてから、手伝ってくれた12人の人たちは、だれだろう?、と、話し合いましたが、だれも知りません。
やがて、12人は黙って寺の中に入っていきました。
不審に思い村人がついて入って見ると、寺の中には人影はなく静まりかえっていました。
床には灰がこぼれ、12神将の像がビッショリと汗をかき、中には手や足に焼け焦げのできたものもありました。
村人たちは火を消したのは、この仏様に違いないと有り難く手を合わせました。
盗人1 |
あるとき、どろぼうがこの寺に入り、釜を盗み、頭にかぶり、夜の闇にまぎれて逃げようと思いました。
しかし、いくら、走っても、このお寺から離れることができません。
夜が明けて、どろぼうがあたりを見回すと、12神将が取り囲みその周りを走っていたことがわかりました。
どろぼうは、怖くなって釜をまたもとの所に返して逃げて行きました。
盗人2 |
ある時、どろぼうが、お寺から、布を盗み、町に行って売ろうとしました.
店の主人が、この布はどこから持ってきたか?、と聞きますと、どろぼうは、ある人にお金を貸して、質に取ったものだ、と答えました。
店の主人が、この布は私が買って寺に贈ったものだ、と言うと、どろぼうは、しばらくしてから、実は盗んできたものだ、といいました。
その時、店にいた12人の小僧が前後を取り囲み、この布はお前の布ではない、寺の布だ、明後日に取り戻す、と言って大笑いしました。
店の主人は怖くなって、3日後に寺に布を持って行きました。
人がたくさんいる世の中で、元の買主に戻るとは不思議なこともあるものです。
宝篋印塔(ほうきょういんとう) |
左の写真は、宝篋印塔(ほうきょういんとう)です。
造られた時期は室町時代末期から江戸時代初めで、壱岐の石工が造りました。
宝篋印塔は、宝篋印陀羅尼(ほうきょういんだらに)というお経を納めるための石積みの塔で、後に供養塔などとして建てられるようになりました。
玉泉寺の宝篋印塔は、供養のために造られたもので、完全な形で残っている、珍しいものです。
小型ですが、全体として洗練された作柄で、緩和にまとめられています。
もともとは、山門脇の供養塔のそばに対になって2基ありました。
残りの1基は、石田の個人の家にあります。
玉泉寺にある井戸の地下水の水路は、渡良の火島と続いているといわれています。