壱岐の住吉神社
住吉神社 |
水が嫌い |
壱岐は弥生時代〜平安時代にかけて、対馬と共に朝鮮や中国に渡るときの交通の要所でした。
遣新羅使、遣隋使、遣唐使などの派遣の時にはここ壱岐の島に休憩するために立ち寄っていました。
住吉神社では、神功皇后が三韓出兵をしたときに、海上の案内をしたという住吉3神を祀っています。
古事記によりますと、住吉大神は、伊耶那岐命(イザナギノミコト)が、亡くなった妻に会うために黄泉の国(よみのくに)に行きますが、妻のひどいありさまを見て、長年の思いもなくなり、妻のもとから、命からがら、逃げるシーンがあります。
やっと、逃げることができた、夫は、筑紫の日向の小さな川のほとりで、体を洗って身を清めました。
このときに生まれたのが、住吉大神です。
伊耶那岐命は、この川で3回顔を洗いました。
先ず、川の底の水底で汚れを洗ったときに生まれたのが底筒男神(ソコツツオノカミ)、少し浮かんで水中で顔を洗ったときに生まれたのが中筒男神(ナカツツオノカミ)、そして水面まで浮かんで来て洗ったとき生まれたのが上筒男神(ウワズツオノカミ)です。
また、神宮皇后が、三韓征伐から帰る時にも、住吉大明神が先導し、半城湾の御津浜(みつのはま)という海岸に上陸しました。
当初は、この浜に住吉3神を祀る神社を建てましたが、住吉大神が「波の音が聞こえないところがよい。」と言われたので、今の場所に落ち着いたということになっています。
海の神様なのに、波の音が嫌いなのか、とちょっと複雑な気持ちになります。
鳥居 |
この島居は、2の島居で、平戸藩主松浦鎮信が建てたものです。
高さ4.4m。
肥前島居と呼ばれる立派な作りの鳥居です。
ちょっと見ると、少し傾いて、今にも倒れそうですが大丈夫です。
1の島居は2の島居よりも高い高台にあります。
島居よりも低いところに神様がおられる神社はとても珍しいものです。
大樹 |
右の写真はこの神社の境内にあるクスノキの大木です。
壱岐で一番大きなクスノキで、直径約5.2mあります。
このクスノキには神様が宿っているといわれています。
クスノキは一枚の葉が落ちてもすぐに新しい葉がいれかわりたちかわり出てくるので子孫繁栄の縁起の良い木とされています。
この神社には、夫婦クスノキと呼ばれている大きなクスノキもあります。
左の写真がその夫婦クスノキです。
直径はそれぞれ約4.0mと3.4m。
根元の直径は約6.9mあります。
地上直ぐのところで2つに分かれています。
それにしても、このクスノキ、初めから2本に分かれていたのか、それとも初めは1本で、その後2本に分かれたのか良く分かりません。
さて、このクスノキ。縁結び、長寿に関係があって、この周りを1周すると願いがかなうとされています。
男子は左周り、女子は右周りに周ればよいのです。
この神社で地元の人たちは結婚式を挙げますが、そのときに良く周っています。
古事記によりますと、2人で共同して子供をもうけるときに、伊耶那岐命(イザナギノミコト・夫)が伊耶那美命(イザナミノミコト・妻)に「あなたは右から周り、私は左から周り会おう」と言って、子作りにはげむ場面があります。
住吉神社には、巨大なクスノキばかりでなく、大きな杉の木もあります。
安国寺にある杉の木に次いで壱岐では2番目に大きな杉の木です。
本殿の左前にあって、まっすぐ幹が伸び、根元から1m余りは腐葉土に埋まっています。
樹勢もまだ盛んで成長途上にあるように見えます。
幹周り4.4m、高さ20mあります。
おがたまの木 |
見事な、大きさのおがたまの木です。
おがたまの木は、普通、上にまっすぐに伸び上がるので、なかなか、このように横に枝が広がっている木にはお目にかかれません。
花は白く、赤い実がなります。
神社には多く植えられ、葉は香料に、幹は器具や床材に使用します。
天照大神(あまてらすおおかみ)が、素戔嗚命(すさのおのみこと)の乱暴に耐えかねて、天岩戸に隠れた時、天鈿女命(あめのうずめのみこと)が、胸ははだけ、女陰もあらわになるほどに、舞い狂いました。
この時に、手に持って踊ったのが、おがたまの木の枝でした。
神池 |
この池は住吉神社の神池です。
この池には竹生島(ちくぶじま)神社が祀ってあります。
この池には、神功皇后が三韓出兵をした折に埋めたとされる鏡があり、この池から鏡を取り出すときには必ず雨が降るという言い伝えがありました。
明治時代に、干ばつがあったときに、この池をさらったところその鏡が発見されました。
鏡は大陸系のもの12面と和鏡系のもの5面でした。
実際に、この鏡を取り出したときに雨が降ったとも聞いています。
それにしても、この池は湧き水らしいのがあるのかないのか分かりませんが、汚い池でした。
何とかならないものでしょうか。
浄水器らしきものも池の中に設置してある感じはしますが。
この池に流れ込んでいる水が、原の辻(はるのつじ)の側を流れている、壱岐で一番長い川の幡鉾川(はたほこがわ)の源流となっています。
重要無形民俗文化財 |
住吉神社では、毎年12月に大大神楽(だいだいかぐら)が奉納され、その年の締めくくりを行います。
壱岐の神楽は、舞いも音楽もすべて神職だけが行います。
素人の人やアルバイトの人は1人も入っていません。
舞っている神官の足元を見てください。
ちゃんと畳2畳の上で舞い、ここからはみ出すことはありません。
壱岐の神楽はこのように畳2畳を使ってその上で舞います。
昭和62年1月、国の重要無形民俗文化財の指定を受けました。
壱岐神楽の曲目は全部で33番まであります。
神楽の種類はその規模によって、4人で舞う幣神楽、5〜6人で舞う小神楽、7人で舞う大神楽、12人で舞う大大神楽の4つがあります。
最も多く行われているのは大神楽で3時間以上の時間をかけて、21曲を演じます。
大大神楽になると、35曲、6時間以上かかります。
神楽(かぐら)について、詳しいことは、壱岐の人々の生活 壱岐の神楽(かぐら)参照