壱岐の花


梅の花

この梅の木は壱岐で一番古い梅の木です。

樹齢250年とも400年といわれています。

民家の庭先にあります。

幹にはこぶしがたくさんあり、胴体も空洞になっています。

毎年2月初旬になるとみごとな花をつけます。










庭先には、写真のような、昔懐かしいポンプが据えてありました。

今でも、使用しています。















オニユリ

壱岐には、いたるところにオニユリの花が7月になると咲き始めます。

群生しているところは、なかなかありませんが、10本前後のグループで咲いています。

緑の中に映えている赤色はとても良く目立ちます。

中国から食用として伝わりました。

葉の元のところにむかごができます。

花は、ご覧のように鮮やかな赤とだいだい色の混じった色です。

花は下向きに咲きます。

花びらは、強くそりかえっています。

オニユリのオニの意味は、大きいという意味です。

似ているものに、コオニユリという花がありますが、コオニユリにはむかごがつかないので、オニユリと区別できます。




カワラナデシコ

壱岐では、日当たりの良い海岸や河原、山野に咲いています。

清少納言の「枕草子」に、「草の花はなでしこ。唐のはさらなり、大和のもいとめでたし」とあり、昔から慕われてきました。

この文章から、ナデシコには、平安時代に中国から持ち込まれた唐(から)ナデシコと古来から日本にある在来種の大和(ヤマト)ナデシコの2つがあることが分かります。

そういえば、ヤマトナデシコという言葉は、以前は、女性の可憐さを表す代名詞でしたが、今では完全に死語になってしまいました。

茎は、カーネーションのようにひょろ長く、花は白やピンクがあります。

わが子をなでるようにかわいい花であることから、この名前がついたといわれています。

秋の七草のひとつですが、壱岐では、夏前にあちこちで咲いています。





スイセン

スイセンは、うろ覚えですが、ギリシャ神話で、あるイケメンの少年が、水面に移った自分の姿を見て、「なんて、いい男なんだろう。」、と思い、見続けているうちに、そのままスイセンの花になってしまった、という話がありました。

壱岐のスイセンは、昔からある、スイセンなので、とても良い香りがします。

12月頃から、咲き始めますが、冬場、花の少ないときのスイセン、ツワブキ、ヤブツバキの花などが咲き誇っていると、とても心がなごやかになります。

スイセンは、写真で分かりますように、ちゃんと、花びらのなかに、おしべとめしべがそろっています。

しかし、種ができているのを見たことがありません。

そのことから、球根で増えていきます。

他の植物が冬には咲かないので、競争する必要がないのか、のびのびと群生しています。

スイセンは、自分が以前生活していた、関東地方では、主に海岸沿いに咲いてしましたが、壱岐では、海岸だけでなく、内陸部にもたくさん、繁殖しています。

花が咲き終わったら、普通の植物は、来年によく花が咲くようにと、花を摘み取ってしまいますが、スイセンは、花を摘み取らないで、咲いたままの状態で、枯れるまで放っておくのが一番いい育て方です。

自分で、枯れた葉や花で、栄養分を作り出すからです。





スイレン

ハスの花は、開くときに、「カサッ」とか「サクッ」とかいう音を出すと聞きました。

花開く瞬間の音を聞いたことはまだありません。

どなたかご存知の方はご連絡ください。

壱岐には、最近、スイレンを植える人が増えました。

当初は、れんこんを掘るために植えましたが、掘るときに泥がぬかるんでいて足をとられたりして、作業が大変なので、結局、あきらめて、最近は、スイレンの花の鑑賞だけにしているそうです。 

スイレンの花が満開になっているときを、撮影するのは難しく、撮影に行ったときは、早過ぎたり、遅すぎたりで、なかなか良いタイミングで撮影することができません。






チューリップ

「♪さいた さいた チューリップの花が・・・」。なつかしいですね〜。

最近は、米の値段が下がって、米を作っても、あまりもうからないので、このように、田んぼをつぶして、花を植えたり、果樹を植えたりするようになりました。

さびしい風景でもあります。

それにしても、チューリップにはいろいろな色があるんですね〜。

歌の文句にもあるように、赤、白、黄色、だけではないんですね〜。

ちっとも知りませんでした。

聞いたところでは、2000種以上の種類があるそうです。

チューリップというと、オランダ、と反応しますが、日本にチューリップが入ってきたのは、江戸時代末期、本格的に栽培が始まったのは、大正時代になってからといわれています。

チューリップ生産量日本一は富山県です。




つわぶき

壱岐の島では、最近良く増えました。

冬の寒いときに黄色い花が一面に咲いているのを見ると、実にあざやかです。

しかも、花の色が黄色なので、とても良く目立ちます。

壱岐では、つわぶきのことを「つわ」と呼んでいます。

日陰でも、崖の上でも、山の中でも、海岸でも良く育ちます。

つわぶきの茎は、油でいためたり、ゆがいて、しょうゆで煮つけて食べると、シャキシャキした歯ごたえがあり、とてもおいしいです。

酒のつまみにもピッタリ。

壱岐では、フキの茎も良く食べます。

畑の土手や、崖に生えている、フキやツワブキの茎を食べることができるのは、壱岐ならではの魅力です。



ところで、皆さんは、ツワブキの種を見たことがありますか。

タンポポの花の種に良く似ていますね。

風に乗って、ふわりふわりと飛んでいって、どこかに着地して芽を出すのでしょうか。

風媒花(ふうばいか)なのですね〜。












ナンジャモンジャの木

この花は、日本広しとえども、長野、岐阜、愛知、三重、対馬だけに自生しています。

お隣の対馬では、天然記念物になっています。

花は、縦に細く裂けたように開いています。

なぜ、ナンジャモンジャと呼ぶのかについてはいろいろな説があります。

1つの説を紹介します。

あるとき、弘法大師が、飯能地方を通ったときに、地元の人たちが、弘法大師に、「あの木はなんという木ですか。」と、尋ねました。

弘法大師は、その木を熱心に調べていましたが、とうとう名前が分からず、口の中で、「なんじゃろうか。どんなもんじゃろうか」、とつぶやきました。

これを聞いた地元の人たちは、「そうですか。ナンジャモンジャというのですか?」、言って帰っていきました。

それ以来、ナンジャモンジャの木と呼ぶようになりました。



ネムの木

日当たりのよう場所に生育します。

夏に、細い糸のような、ふわふわした、淡いピンク色の花を大きく横に広がって、咲かせます。

夏に、2回花が咲きます。

1個1個の花は1日だけしか咲きませんが、次から次に違う花が咲いていきます。

ふわふわした部分はおしべで、その根本にはガクや花ビラがついています。

私は、この花を雨上がりに見るのが好きです。

雨に濡れると、そのピンク色がさらにあざやかになるからです。

名前のとおり、夜になるとゆっくりと花が閉じます。

でも、漢字で書くと「眠の木」ではなく、「合歓の木」と書きます。

小学校の音楽の教科書にもネムの花の曲がのっていました。

「ねんねんね−むは、ね−さんが・・・・」という歌詞でした。

「象潟(きさがた)や 雨に西施(せいし)が ねぶの花」 芭蕉

西施とは、中国の歴史に登場する絶世の美女です。

やはり、美女には雨が似合うということでしょう。





ハマユウ

正しくは、ハマオモトといいます。

ハマオモトの葉は、肉厚で、葉が長く、その様子がオモト(写真参照)に似ていることから名づけられました。

写真左がオモトです。

そういわれれば、葉の形はそっくりです。

ハマユウはヒガンバナ科の1種で、関東より南の暖かい地方の海岸に良く育ちます。

年平均気温14℃の黒潮が流れる海浜に自生しています。

壱岐がハマユウの北限といわれています。

夏になると白い花が咲き、良い香りがします。

花は、細長くグシャグシャになっています。

花のようすが、木綿(ゆふ)を垂らしたように見えることから、ハマユウという名前がつけられました。

木綿(ゆふ)は、コウゾなどの植物の樹皮を細く裂いて、繊維を作り、この繊維から作った布をいいます。



ヒガンバナ

秋の、お彼岸の頃に咲くのでこの名前があります。

マンジュシャゲとも呼ばれています。

中国が原産地です。

真っ赤な色なので、ひときわ目立ちます。

地下茎に毒と悪臭があり、ネズミ、モグラ、害虫などの穴を掘る小動物を退治するために田んぼのあぜ道や土手に植えました。

でも、効果のほどは良く分かりません。


墓地にも多くあります。

これは、土葬による死体が小動物によって掘り起こされるの防ぐためです。

今は、火葬なので、このようなことはなくなりました。

地下茎には、でんぷんが豊富に含まれているので、つぶして細かくして、何回も水にさらして毒を抜けば、食用にもなります。

終戦直後には、食用にされていました。

花の色は赤が多いのですが最近は白や黄色の花も良く見かけるようになりました。

皆さん、ご存じのように、花と葉を同時に見ることはできず、花が咲いている時期には葉がなく、花が散ってしまい、他の植物の葉が枯れてしまうと、葉が出てきて、太陽の光をひとり占めするという、変わった性質の花です。

雌雄同体なので、種で増えることはなく、球根で増える、と言われていますが、まれに種がついているヒガンバナを見かけることもあります。

私の、小さい頃は、ヒガンバナは縁起の悪い花だ、と教えられていましたが、これは、日本だけの話しで、ヒガンバナの咲いている中国、台湾、朝鮮では、そんなことはありません。



ふじ

私は、壱岐にもフジの花を愛する人がいるのを見て嬉しく思いました。

フジは他の木に巻きついて育つので、嫌がる人もいますが、写真のようにフジ棚を作ってやれば良く育ちます。

フジの花の色には、紫色と白色がありますが、壱岐では紫色だけしか見たことがありません。

フジの花は、公園に植えたりすることもありますが、自生しているものは、山の中や平原などでも生育します。

ところで、フジのつるの巻き方には、Z巻きのものとS巻きのものがあります。

S巻きをしているフジもあります。

上の写真のフジはS巻きになっています。このフジはノダフジと呼んでいます。

壱岐では弁天崎公園に植えてあります。


これに対して、Z巻きは、皆さん、良くご存じのように、アサガオやヤマイモの巻き方です。

フジでZ巻きをしているものをヤマフジといいます。

九州に自生しているフジはヤマフジです。

上段のフジはノダフジ、下段のフジはヤマフジです。

ノダフジは花の垂れ下がり方が大きいのに対して、ヤマフジは少ししか垂れ下がっていません。







ムラサキカタバミ

私が住んでいるのは、壱岐でも、農村地帯なので、毎年、5〜6回、村の草刈りにかり出されます。

写真の花は、清掃工場の草刈りにかり出されたときに、たまたま見つけて、写真にとりました。

このとき、初めて、この花の名前を知ったのですが、その後、注意して周りを見ると、あるわあるわ、我が家の周りも、どんどん増えています。

日当たりの良い場所に、たくさん、群生して咲いています。冬場を除いて、1年中、花が咲いています。

この花は、江戸時代に鑑賞用として日本に入ってきました。

南アメリカが原産地です。

関東地方よりも、九州寄りの方に生えています。

この、野草は、根がはって、少々の力で引き抜こうと思っても、根は上がってきません。

しかも、茎が途中で、ブチブチ切れてしまい、根は残ります。

増え方は、種ではなく、茎がどんどん、地面の上をはって、四方八方に広がります。

繁殖力がとても強い植物です。




リビングストーン

恥ずかしながら、この花の名前を知ったのは、つい最近のことで、また、壱岐でもこのような鮮やかな花を植える人がいるのかと思うと、感激します。

しかし、それにしても、光沢があって、なんと鮮やかな色をしているのでしょう。

南アフリカという暑い地方が原産地なので、このような色をしているのでしょうか。

また、暑い地方に育っているので、乾燥にも強い花です。

地面をはうように、花が咲き誇っています。

話に聞いたところでは、時期になると、1本、1本、丁寧に植えていくそうです。

植えた後は、枝がどんどん四方八方に伸びて、このような、じゅうたんのような花を咲かせます。

毎年、壱岐のあちこちから、見に来る人がいます。

曇ったり、日が暮れると花は閉じてしまいます。




れんげ

最近は壱岐では田んぼにレンゲ草を植える人が多くなりました。

出荷用ではなく、自家消費するための米を作る田んぼにレンゲ草を植えます。

化学肥料がいらないからです。

レンゲ草を漢字で書くと、「蓮華草」と書きます。

名は体を表す、といいますが、車輪状に小さな花が、並んでいる形が、ハスの花に似ているから「蓮華草」と書きます。

植物のほとんどは、土の中にある窒素(ちっそ)という養分を根から吸収しています。

しかし、レンゲ草は、葉から空気中にある窒素という養分を取り込んでいます。

そして、根には、その窒素を蓄えます。

その貯蔵庫が、皆さんが、小、中学校で学んだ根粒菌(こんりゅうきん)というものです。

昔は、レンゲの若い芽を、おひたしにしたり、味噌汁の具にしたり、油でいためて食べたりしていましたが、最近は食べなくなりました。



ヤブツバキ

ヤブツバキは壱岐の市の花木に指定されています。

花の時期になると、壱岐のどこにでも咲いています。

塩害や病害虫にも強く、枯れているのを見たことがありません。

我が家にも大きなヤブツバキの木がありますが、アメリカシロヒトリが巣を作って、バリバリ葉を食べていますが、それでも枯れたことがありません。

その代わり、人がその周辺に行くと、たちどころにやられて体じゅうがかゆくなり、赤くはれ上がります。











ほとんどのヤブツバキの花が赤色ですが、たまに白色の花を見かけます。

右の写真は白い花が1輪、咲いているのがお分かりでしょうか。

花が咲いている期間は長く、11月頃から翌年の4月頃まで咲いています。

壱岐では、このヤブツバキの実を使って、椿油をつくります。

専門の業者はいませんが、興味のある主婦の方たちが集まって、毎年、手作りで椿油を作っています。

ヤブツバキの花は、花弁がバラバラになることなく、1個の花がそのままポトリ、ポトリと落ちます。

落ちた花で、首飾りを作ることもできます。

また、ツバキの花の中には甘い蜜がたくさんたまっています。

子供の頃は、木に登って、メジロと一緒になって、ツバキの花の中にある甘い蜜をよく吸ったものでした。



ヤブラン

名前のとおり、樹木の下の薄暗いやぶのような場所に生え、葉がランの花に似ていることからこの名がついています。

夏の終わりになると、小さな淡い紫色の花が総状にたくさん咲きます。

昼間は花が咲き、夜になると花が閉じます。

写真を撮っていると、必ずたくさんのやぶ蚊()に一斉(いっせい)に襲われます。

黒いぶどうのような実がなります。

ランという名前がついていますが、実は、ユリ科の仲間です。

1年中緑の葉がついて枯れることがありません。

目立たない場所に一本立ちしてひっそりときれいな花を咲かせる、このような花が私は好きです。

我が家の周りにもたくさん咲いています。



山桜

壱岐の山桜は、日本古来のツクシヤマザクラが壱岐で進化して、今のような山桜になりました。

壱岐の海岸にもあり、また、山の中にもたくさん自生しています。

皆さんが、良く桜見物に出かけられるときの、ソメイヨシノに比べると、天狗巣病(テングスビョウ)にも強く、海水にも強く、成長も早く、寿命も長いという良いところだらけです。

時期になると、マスコミ関係や芸能人、関東からの旅行客でにぎわいます。

壱岐の山桜は、八重桜のようにも見えます。

花の1つ1つには、5枚の花弁があって、一重咲きで、しかも、花も大きいという特色があります。

しかも、1本の枝につく、花の数が多く、集合密度が高いので、満開になると、全体がドームの屋根のように丸くなって、とても豪華に見えます。



遠くから見ると、八重桜のように見えるのはこのためです。

さらに、花が咲いている周辺は、ピンク色に染まって、とても鮮やかです。

写真の山桜は、半城湾(はんせいわん)に咲いているものです。

陸上からも海上からも見学することができます。

壱岐の山桜参照