はらほげ地蔵
六人 |
壱岐のパンフレットには必ず載っているおなじみのお地蔵さんです。
「はらほげ」というのは、お腹に穴が開いている、という意味です。
満潮時に、お供え物が流されてしまわないようにするために、穴は貫通していません。
毎年、旧暦の10月24日に、6人のお坊さんによる供養が行われます。
湾の埋め立て工事が行われたとき、一度、丘に移しましたが、「海に帰りたい」という、お告げがあり、再度、海のなかに戻しました。
赤い胸当てがしてあります。
これは、お腹が痛いときやかぜをひいたとき、胸の病、恋の病などのときに、早くなおるようにお願いをして、なおったら、赤い胸当てを作り、お礼をします。
赤い帽子がかぶせてあります。
これは、頭が痛いときに、早くなおるようにお願いをして、なおったら、赤い帽子をかぶせて、お礼をします。
モノクロの写真は一昔前の移転する前のものです。
ずいぶん雰囲気が変わりますね。
昔は、この村の入り口にありましたが、明治40年から行われた、埋め立て工事で、陸地から20mくらい沖に置くようになりました。
玄武岩でできています。
現在は、台座に穴をあけて、固定してあるので、少々の風雨では、びくともしません。
しかし、港湾整備で何回も移転して、平成17年に、現在の場所に777万円かけて移しました。
777万円ですよ。
7が3つ並んでいるのは偶然でしょうか。
6体とも、最初はちゃんと頭がついていましたが、暴風雨で倒れ、折れてしまい、今は別の丸石をのせてセメントで接着してあります。
参拝のときに、頭が落ちているのを見つけて、それを元に戻した人には幸いが訪れると言われています。
穴 |
左の写真は、はらほげ地蔵に開いている穴です。
このような穴が6地蔵の全部についています。
穴の中には、お金が入れてありました。
いつ頃できたかは分かりません。
室町時代に造られたともいわれています。
また、江戸時代には、この付近には鯨組の納屋(なや)があったので、鯨の関係者が鯨が良く捕れるようにと祈願するために造ったとか、遭難した海女の冥福を祈るためとか、疫病が流行しないように祈るためとか、いろいろいわれています。
狸 |
次のような民話も残っています。
昔、1匹の親狸(おやだぬき)と6匹の小狸がこの周辺の森の中に住んでいました。
あるとき、いたずら好きの村の子供が、狸の住んでいる穴をふさいで、外から木の葉や枯れ枝をたいて、煙で穴の中をいぶしました。
子狸は死にましたが、親狸は穴から飛び出して逃げていきました。
それから、親狸は子狸のあだ討ちのために、夜中になると村々の家に火をつけてまわりました。
村の人たちは、夜中に当番で見張ることにしたら火事はなくなりました。
しかし、その代わりに、村中に赤痢が大流行してたくさんの人々が亡くなりました。
そこで、村中の人たちが集まり、子狸の霊を慰めるためにはらほげ地蔵を祀ったといいます。
六道(りくどう) |
なぜ、お地蔵さんは6人いるのでしょうか。
それは、人間が死んだときに、行く死後の世界が6つあるからです。
そして、6人のお地蔵さんは、六道で苦しんでいる人々を、救ってくれる役割をしています。
天国道 |
生きているときに、多くの善行を積み、良い行いをした人は、「天国道」に行きます。
地獄道 |
逆に、悪い行いばかりをした人は、「地獄道」に行きます。
「地獄」に行った人は、えんま大王が審判して、さまざまな地獄の責め苦を受けます。
修羅道 |
争い事が好きだった人や、争いごとを起こして命を落とした人は、「修羅(しゅら)道」に行きます。
「修羅」では、阿修羅(あしゅら)の手下となって、来る日も来る日も終始戦いますが、負けてばかりいて、激しい戦いで、体を切り裂かれてしまいます。
畜生道 |
動物をいじめたり、虐待した人が、死後愚かな動物に変えられて、弱肉強食の世界へ行くのが、「畜生道」です。
変えられる動物には、鳥類、獣類、虫類などがあります。
牛や馬などの動物に変えられて、弱肉強食の厳しい世界に身を置き、常に危険に身をさらし、おびえて暮らします。
餓鬼道 |
また、悪い行いをした人が行く世界に、「餓鬼道(がきどう)」というのがあります。
「餓鬼道(がきどう)」では、人間は、腹がふくれた鬼となり、食べ物を口に入れようとすると、たちまち灰となってしまい、毎日、餓えと渇きに悩まされます。
おなかは、大きいけれども、のどが細いのでたくさん食べることはできません。
そのため、いつも空腹に悩まされ、糞尿や死体など何でも食べようとします。
写真は、大便をしているところと、その大便を、食べようと待ち構えている図です。
のどが細く、また、おなかが、異常にふくれています。
人間道 |
死後に行く世界には、「人間道」もあります。
「人間道」は、人間が住み、生活する世界です。
苦労も多いが、喜びも多い世界です。
あなたが、行く世界は、このなかのどれになるでしょうか。
私の場合は・・・・・・・・・。
考えただけでも、ぞっとしますね〜。