壱岐の国津意加美神社
国津意加美(くにつおかみ)神社 |
国津神(こくつかみ) |
「くにつおかみ」神社と読みます。
神様には、天津神(あまつかみ)と国津神(こくつかみ)の2つの種類があります。
天津神というのは、天にある、高天原(たかあまはら)に住んでいる神様のことです。
これに対して、国津神は、初めから地上に住んでいた神様のことです。
葦原中国(あしはらのなかつくに、今の出雲地方)に住んでいた、大国主神(おおくにぬしのかみ)は、国津神の代表者です。
大国主神(おおくにぬしのかみ)については、大国玉(おおくにたま)神社参照。
国津神には、初めから、地上に住んでいた神様だけでなく、最初は、天に住んでいましたが、その後、天から地上に降りてきて、そのまま、地上に住みはじめた神様も、国津神として取り扱います。
スサノオノミコトは、高天原を追放され、出雲に降り立った神なので、国津神です。
天津神が、地上に降りてきた目的は、地上に住んでいた神様を、征服して、地上を支配するためです。
天津神が、地上に降りた場所は、2ヶ所あります。
1つは、皆さん、すでにご存知の、出雲(いずも)です。
もう1つは、筑紫(ちくし)の日向(ひゅうが)にある高千穂の峰です。
津と意加美 |
「国津意加美神社」の「津」は、現代語の「の」のことで、「国津」は「くにの」という意味になります。
「意加美」は、神様の名前で、水の神、あるいは雨雪をつさどる神です。
簡単に言えば、龍神(りゅうじん)です。
素盞嗚尊(すさのおのみこと) |
国津意加美神社の祭神は、素盞嗚尊(すさのおのみこと)、その妻の稲田姫命(いなだひめのみこと)、大己貴命(おおなむちのみこと、大国主命の別名)、闇袁加美神(くらおかみのかみ)です。
その昔、スサノオノミコトは、全国平定をするために、日本中をくまなくまわり、それが終わると、韓国、中国まで出かけ、その帰りに壱岐の郷ノ浦に到着し、今の神社のあるところに宮殿を建てたということです。
当時の祭礼の時には、佐賀県の呼子から魚が奉納されていましたが、海がしけることが多く、苦労していました。
たまたま、呼子の人と壱岐の小崎の漁師の間に、縁組があり、それ以後は、小崎から魚が奉納されるようになりました。
百姓一揆 |
実は、この神社、明治時代に起こった、犬狩り騒動と呼ばれている、2000人の農民達が集まった百姓一揆の参加者が集まった場所でもあります。
この頃、壱岐には野犬が多く、畑の作物や、子牛、にわとりなどの家畜に大きな被害がありました。
農家の人々は集団で、野犬が多く潜んでいる町方まで行って野犬狩りをしていました。
このときは、無断で自由にどこの家にも立ち入ることができました。
ところが、野犬狩りに名を借りた、大騒動が起こりました。
一揆の原因は、皆さんが良くご存知の、明治政府が行った地租改正です。
農業をしている人たちが納める税金が、現金で払わなければならなくなりました。
その結果、物価が上昇し、みんなが困っていました。
農民総決起集会の目的は、名目上は、野犬退治でしたが、納税が地租改正で、金納に代り、商人が勝手に米価を操作して暴利をむさぼっているという悪どいやり方に対して、この機会にうっぷんばらしをしようと計画したものでした。
早朝から、郷ノ浦の国津意賀美神社の広場に、村々から群集が集まりました。
その数2000人。
一団は、先ず、神社の周辺にある、郷ノ浦の商家になだれ込みました。
酒屋の酒を飲み放題、店の品物を手当たり次第に盗んだり、商品を道路に放り出したり、川に投げ込んだりしました。
また、鳶口(とびぐち)で戸を打ち破ったりもしました。
一揆の参加者は、続いて湯のノ本浦に押しかけました。
ここでも、同じように、酒屋などの店々に押し入り、戸や壁を壊しました。
さらに、石田の印通寺浦が襲われました。
暴徒は、帰りに国分天満宮の馬場で、明日は芦辺か勝本にすべきか評議しましたが、意気込みが次第に衰えて、中止になりました。
名工 |
この神社にある狛犬はみごとなできばえです。
造った人は、壱岐の名工山内利兵衛(やまうちりへい)です。
江戸時代に造られました。
山内利兵衛は、江戸時代〜明治時代にかけて活躍した人です。
聖母宮の牛、華光寺の16羅漢なども造っています。
頭が小さく、均整のとれた優しい姿をしています。
左側の狛犬は、子どもを抱いています。
これに対して、右側の狛犬は、口の中に玉をくわえています。
まれに見る、みごとな名品です。
伝染病 |
右側の祠(ほこら)は疱瘡神(ほうそうがみ)です。
壱岐の神社には、この疱瘡神がよくあります。
よほど、疫病が流行していたのでしょうか。
左側の祠はお稲荷(いなり)さんです。
絵馬 |
拝殿の中にはこのような絵馬がたくさんかけてあります。
昔の人は、お祈りするときは、このように膝まづいてお参りしていたのですね〜。
なんとなく、歴史を感じさせます。
どんなことを、祈願しているのでしょうか。
余計なことで゛すねぇ。