壱岐の漁業



壱岐の周辺は、対馬海流という暖流と日本海流という寒流が流れ、その2つの海流がぶつかり合うとともに、大陸だなも多く、絶好の魚場になっています。

そのため、壱岐の、沿岸部では、漁業がさかんに行われています。

漁獲物は、漁法の違いによって、いろいろあります。

漁法には、一本釣り、網漁業、延縄(はえなわ)、潜水などがあります。

資源保護とのかねあいから、主に、一本釣りが行われています。

一本釣りは、早朝か夕方に出かけて行われます。





沿岸漁業

沿岸部の、浅瀬では、アワビ、サザエ、ウニ、ワカメ、アオサ、ミル、ナマコ、イサキ、タイ、ブリ、マグロ、イカ、シビ(マグロの子)、アジなどが豊富にとれます。

私が、子どもの頃は、海岸でたくさんのサザエ、アワビ、ウニなどがとれましたが、今では、とれなくなりました。

最近は、小型舟で、20分くらい、沖に出て、潜ってとったり、箱めがねを使って、舟の上から、のぞいて鉾(ほこ)で、ひっかけて、とったりします。

私も、一度、舟に乗せてもらって、箱めがねからのぞいて、サザエをとろうと、思いましたが、舟はゆれるし、船酔いはするしで、大変な目に会いました。










イカ釣り

イカ釣りは、夕方から夜明けにかけて行われる、大変な重労働です。

最近は、温暖化現象で、壱岐の周辺でも、マグロが釣れるようになった反面、イカがとれなくなりました。

そのため、イカ釣り船は、島根県沖や青森県周辺まで出かけます。

半年は、壱岐に帰らないという日々が続きます。

勝本港は、西日本では、最大のイカの水揚港になっています。

春から夏はケンサキイカ、秋はミズイカ、冬はスルメイカというように、1年中イカがとれます。

とれたてのイカの刺身を、しょうがを薬味にして、生卵をつけて食べると、甘くてとてもおいしくいただけます。

ところで、皆さんは、イカの足は何本あるかご存知でしょうか。

タコの足は8本ですね〜。

そうです。

イカの足は10本あります。




いそ焼け

以前は、壱岐の周辺の海岸には、海藻がたくさん茂っていて、漁船が通れないくらいでした。

しかし、最近は、海藻がなくなり、ごろごろした石だけが目立つようになりました。

海藻が少なくなると、ワカメ、ヒジキ、アオサ、カジメなどがまったくとれなくなります。

こういう、現象を磯やけと呼んでいます。

磯やけのために、以前に比べて、壱岐では水揚げ量が大幅に減少しています。

磯焼けの原因には、いろいろありますが、一番、大きな原因としては、壱岐の海岸をコンクリートで、固めてしまったことにあります。

そのために、それまで山から海に流れ込んでいた、豊富な、栄養分が流れ込まなくなり、また、その栄養分を蓄えていた干潟も失われ、その干潟の栄養分を餌とする、海藻類や魚が育たなくなったことにあります。

磯やけによる漁獲量の減少は、燃料費の高騰とともに、頭の痛い問題になっています。





七里ヶ曽根(しちりがそね)

大陸棚

壱岐と対馬の中間に、七里ヶ曽根と呼ばれている、大陸棚(たいりくだな)があります。

水深100m、周囲28kmくらいの大陸棚です。

ここは、寒流の日本海流と暖流の対馬海流がぶつかりあう所で、そのため、大量のプランクトンが発生し、それを餌とする小型の魚が集まり、さらに、小型の魚を餌とする大型の魚が集まるというわけです。

クロマグロ、ヤズ、ブリ、ヒラスなどたくさんの魚が集まります。

ブリは出世魚で、ハマチ、イナダ、ヤズ、ブリと名前が変わっていきます。

また、七里ヶ曽根周辺は、玄界灘と呼ばれている、波の荒い場所でもあり、そのため、魚の身もひきしまって、歯ごたえが良く、とてもおいしいです。

2005年の暮れに、300kg級のマグロが釣れたときは、ご祝儀相場も手伝って、築地で、1111万円の高値で落札されました。

大型のマグロの1本釣りの場合、マグロがかかってから、船に釣り上げるまでに、12時間くらいかかります。


大混雑

資源が豊富な場所なので、壱岐だけではなく、対馬、九州本土からもたくさんの漁船がやってきます。

また、漁師の船だけでなく、福岡県などからの一般の釣り客も多く、さながらラッシュ状態になっています。

韓国からの底引き網の密漁船もたくさんやって来るので、交代で見張りをすることもあります。


トラブル

壱岐の漁船は、資源保護のために一本釣りですが、他の場所から来た船は、網を使って、文字通り、一網打尽にとってしまいます。

とうぜん、1本釣りと巻き網漁では勝負になりません。

そのため、場所をめぐって、巻き網船と1本釣り舟との間にトラブルが多発するようになりました。

最近、両者の間で話し合いが行われていますが、火種はくすぶっています。